小学5年生の算数 最難関は割合 どう理解してもらうかるか
五年生で最ももめるのが割合です。
できるようになった子も『よく分からない』
『気持ち悪い』ということの多い単元です。
理由は色々ありますが、それはあとにして、
どのように教えると分かるかを示します。
多分、江戸時代も似たような考え方だったと思います。
整数の計算です。
まずは、児童への話しかけです。
「ふつうに生活していても略語は多い。
例えば、デジカメってどんなカメさんだ?」
『デジタルカメラの略だよ』
「デジカメでは何のことか分からないね」
「実は、算数も略語が大好きなんふぁ」
例えば、次のように言います。
「10等分」のことを算数では
「÷10」と表します。
20円を10等分したうちの3個分を
20円の3割 と言います。
「20円 ÷10 ×3」として求められます。
「6円」です。
1個分のときは、「×1」を略します。
略さずに表すと「÷10 ×1」です。
20円を10等分したうちの1個分を
20円の1割と言います。
「20円 ÷10 ×1」として求められます。
「2円」です。
このように、
具体的な数値を使って
自力でできるようになるまで尋ねます。
また、
10割は特別に取り上げる必要があります。
「÷10 ×10」
以下同じように、
20円の4割、7割と歩合を増やしたり、
200円の、300円の、と金額を増やしたり
理解したかどうかを確かめます。
じっくり 何度も尋ねてあげます。
(今日出来ても、明日また出来るとは限りません。
焦りは禁物、 腑に落ちるまで何度もやります)
一般的に述べるより、
具体的な数字を使って尋ねます。
教えなければならないのは
人々が決めてきた言葉の約束事です。
日常使われる「割引」は格好の話題です。
「20円の品物を、3割引きで買うと何円?」と尋ねます。
分からない時は、
「20円の品物を6円引きで買うと何円?」
これなら大概わかります。
そして、3割のところに6円を重ねます。
〇〇引き の引きは 多くが引っかかるところです。
このように、
子どもたちが分かっていることに乗せて
次の課題に進みます。
整数計算での問題に答えられるようになった時点で、小数計算に進みます。
子どもは、自分の理解したものごとの
表示方式の変化には
さほど戸惑うことはありません。
今、分数計算より小数計算を先にする風潮があります。
小数は、分数によって説明するべきものですから、いささか飛躍になります。
教室では、分数から入ります。
整数の乗除から分数の掛け算へ
「 ÷10 ×3 」は
「掛けること」と「割ること」の
順序は変更できますから、
「 ×3 ÷10 」となり、英語風に表すと
「 ×3/10」。これを数学では
「 × 」と表します。
を小数では0.3と表すので
「 ×0.3 」
もちろん、小数は0.1から導入します。
「÷10×1」を「×0.1」と表します。
という、約束事的導入が必要です。
10等分した1個分の理解が大切です。
テキストによっては、
「×小数」の導入に、いきなり
「×3.4」等とする場合がありますが、
よほど腕の良い先生に使ってもらわないと
かなりの子どもがこぼれると思います。
子どもにはこれが分かりにくいのです。
割合は比で説明すると分かり易い。
割合は、比のうち
m:1:n の
mが10であったり、
100であったりするだけのことです。
即ち
10:1:n n割
100:1:n n%
3%とは
3パーセント
「パー」とは日本語にすれば
向きは逆だが「分(ぶん)の」こと、
「セント」とは「100」のことです。
(100年のことをセンチュリーと言いますね。)
つまり、
「3パー100」「3/100」のことです。
単に「100分の3」を逆順に言っただけの
英語表現にすぎない。
日本語人としては、「100分の3」が
「×3÷100」というのは
感覚的に承知できないですけれども。
割合編の重要公式
比べる量÷元にする量 | = | 割合 |
を比で考えると
割合は略式であることが明らかです。
比べる量:元にする量=m:1
の「mの値」が「割合」です。
〇:◇ = m: 1
の「前項」が
「比の値」であり、
「割合」です。
割合は、比の特殊な場合です。
割合という世界が別にあるのでなく
単に比の一現象です。
日本は十進法が得意だったから『比』が発達したのでしょう。
小学3年で学ぶ
6÷2=3
6㎝÷2㎝=3
これらの3だって立派に割合のはずです。
であるのに、そこでは割合と言わない。
何故なんでしょうか。
部分÷全体にこだわっているのでしょうか。
それなら140%は部分ではありませんからあてはまらないはずです。
次の二つの式は、割合の大変重要な公式と扱われています。
元にする量×割合 | = | 比べる量 |
比べる量÷割合 | = | 元にする量 |
しかし、
この二つの式を比の目で見ると、
その区別にあまり意味があるとは思えない結果になります。
例えば
3:10=A:B のとき
Bを求める式は、
3:10=1:10/3=A:A×10/3
3:10=3/10:1=A:A÷3/10
=A× 3/10
A × 10/3
=A ×10 ÷3
=A ÷3 ×10
=A÷(3÷10)
=A÷ 3/10
即ち、A× 10/3 =A÷ 3/10 だから、
Aが1、即ち「元にする量」であろうと
Aが比べる量」であろうと、
もう一方の値を求める時、
式に違いはないのです。
意外ですね。
テラヲ式算数 より
小学高学年5年生の算数